粒子接触構造に基づく修正応力と弾塑性モデル
粒子の集合体である土は,応力履歴の結果,粒子構造が変化する.たとえ,応力状態,密度が同じだとして,その粒子構造の違いにに応じて,様々な挙動を呈する.
このような粒子構造を表す指標として,粒子の接触法線の方向分布をあらわすファブリックテンソルが知られている.一方,Nakai and Mihara(1984)は中間主応力の強度変形特性への影響を考慮するために,三次元滑動面の法線テンソルaijを用いた修正応力tijを提案している.
本研究では,両者の類似性に着目して,本来応力のみから求まるaijに応力履歴を考慮した発展則を与え,新たなテンソル量aij*およびそれを用いた修正応力tij*を提案し,等方硬化型弾塑性モデルの範疇で,単調な載荷履歴や三次元の複雑な応力経路での土の挙動を再現した.
京川裕之, 菊本統, 中井照夫:修正応力を用いた等方硬化モデルによる誘導異方性の表現, 地盤工学ジャーナル, Vol. 5, No.4., pp.533-544, 2010年12月.