地盤の構成モデル研究について

図1(三笠,1978を一部引用)
図2

我々が目にする物理現象では,運動量,質量,エネルギーなどの物理量の保存則(支配方程式)が成立しています.
現象を予測するためには,その支配方程式を解く必要がありますが,材料の特性を表す式(モデル)が必要になります.
物体のつり合い式を解くのであれば,応力変化を表す構成モデル,水の質量保存則(連続式)を解くのであれば,流量を導くモデルがそれぞれ必要になります.
そして,一般な地盤工学や土質力学では,応力とひずみの関係式であったり,流量と全水頭を関係付けるダルシー則にあたります.

地盤材料のことを考えると,砂,粘土,礫,軟岩,硬岩があったり,それらの形成過程は堆積や変質など様々です.
また,地盤の中には水と空気に加え,微生物も存在しています.水の中には種々の物質・イオンが溶け込んでいます.
そして,このような地盤では建設や地震動による荷重変化,豪雨などの地下水浸透に伴う水圧変化,
乾燥,湿潤,凍結による地下水の含水量や相変化,イオンの流出・流入などによる鉱物変化など多種多様な事象が生じ得ます.(図1)
これらを予測・表現するためには,現象に見合った支配方程式と材料モデルが必要になります.

モデルを作るために必要なことは以下です.
1.現象支配する関係性を見つけ出すこと
2.物理的・数学的にも合理的なモデル(理論式)を提案すること
3.モデルの妥当性を検証すること
(本研究室では,1について,要素試験や化学分析を行い,現象に迫ります.2について,連続体力学をベースに,弾塑性論や界面科学などから立式を行います.3についてはインハウスのプログラムを開発したり,商用ソフトウェアを使い検討しています.(図2))

上記の手順は複雑かつ煩雑ですが,その中にも現象を支配する一貫したルールが存在し,そのルールは多くの事象を説明することが多い(望ましい)です.
そのような汎用的なルールを見つけ出して,証明すること,またその過程において様々な知識や技術を身につけることを楽しんでいます.