鉱物表面現象に着目した膨潤性粘土の構成モデル

膨潤性粘土は,世界中に広く存在し,国内でも新第三紀以降の地層を中心に広く分布しています.一方,代表的な膨潤性粘土であるベントナイトは,放射性廃棄物処分施設の緩衝材候補となっている.しかしながら,膨潤性粘土は設計手法のない特殊土として考えられています.

本研究では,層状鉱物の混合体である膨潤性粘土の変形を“土粒子骨格の変形”と“鉱物結晶層間の変化”の和として記述しました.前者は砂や粘土の挙動を記述する一般的な力学モデルで表されるのに対して,後者は結晶・界面コロイド学の知見から鉱物表面に作用する力のバランスとして求める全く新しい手法を提案しました.

同モデルは,膨潤土の化学−水理−力学連成挙動を合理的に再現し,またミクロ・マクロの両面から発展可能なモデルフレームワークを構築した.

Kyokawa, H., Ohno, S. and Kobayashi, I.: A method for extending a general constitutive model to consider the electro‐chemo‐mechanical phenomena of mineral crystals in expansive soils, International Journal for Numerical and Analytical Methods in Geomechanics, Vol. 44, pp. 749-771, January 2020.

Kyokawa, H.: A double structure model for hydro-mechano-chemical behavior of expansive soils based on the surface phenomena of mineral crystals, Engineering Geology, Vol. 294, December 2021.