EPP(発泡ポリプロピレン)ブロックの土構造物利用へ向けて
発泡ポリスチレン(EPS)は,軟弱地盤上の盛土,構造物の裏込め,道路盛土の拡幅など軽量盛土工法として広く利用されている.一方,2016年熊本地震によって急傾斜地のEPS道路盛土が部分的に被害を受けたと報告されている.道路盛土は完全な崩壊には至っていないが,内部ではブロックの破損が確認され,地震によって大きな荷重履歴を受けたと考えられる.そして,潜在的なダメージを受けているEPS盛土について,その荷重履歴に対する復元性能の把握が重要となる.
発泡ポリスチレン(EPS)は,その諸特性や経済的な理由から,梱包資材を中心に広く利用されており,力学特性およびそれに影響する種々の要因についてこれまで数多くの研究が行われてきている.一方,EPSと同様の合成樹脂発泡材料である発泡ポリプロピレン(EPP)は,緩衝特性や復元特性に加えて,遮熱性,再利用性が優れていることから,近年航空機や自動車などへの利用を中心にその利用が増加しているが,土木工事への利用はほとんどない. そこで本研究では,EPPブロックの復元特性に着目して,載荷速度,ひずみ履歴,クリープ期間を変えた非単調一軸圧縮載荷試験を行い,その基本的な力学特性について調べた.
Z. Maqsood, J. Koseki and H. Kyokawa: Mechanical Behaviour and Stress-Strain Recovery Characteristics of Expanded Polypropylene, Geosynthetics International (Ahead of print).
京川 裕之, Z. Maqsood, 古関 潤一: 発泡ポリプロピレンブロックの強度・変形特性に及ぼすひずみ履歴とその後のクリープ期間の影響, ジオシンセティックス論文集, Vol. 35.