局所変形および濃度計測による境界値問題としての浸透圧密現象の解釈
ベントナイトなどの膨潤性粘土は負に帯電した粘土結晶によって構成される層状鉱物である.間隙水中の陽イオンは負電荷の鉱物結晶に引きつけられる.そのとき,結晶(層間内部)と間隙の間に生じるイオン濃度差によって,浸透圧が発生し,結晶層間と間隙で水が移動する.間隙水濃度が(相対的に)高いときは結晶層間から排水,濃度が低いときは逆に結晶層に吸水され,それぞれを浸透圧密,浸透膨潤という.この浸透圧密現象は古くから知られているが,要素試験としてイオン濃度に対する沈下量といった巨視的な分析しかされていなかった.
本研究では,この浸透圧密現象を境界値問題として考えるため,①アクリル製圧密容器を用いて,供試体に混入した色砂の移動を画像解析で観察することにより,局所的変位を抽出,②浸透圧密後の供試体をスライスして,局所のイオン濃度を計測した.これにより,イオン濃度と局所変位の時間変化を空間的把握することができた.またイオン濃度だけでなく,間隙水圧も浸透圧密の進行に関与していることが示され,水理-力学-化学連成問題として浸透圧密現象が説明された.
Hiraga, M., Kyokawa, H. and Koseki, J.: Experimental investigation of local chemo-mechanical behaviour and temporal development of osmotic consolidation in expansive clay, Canadian Geotechnical Journal. (Ahead of print)